民芸・工芸       沖縄の金城次郎窯(倉敷編)

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さてこちらはわたしが倉敷で買ったものです。
たしか外村吉之介先生のお宅の隣の小さな民芸店だったと思います。ぶらりと訪れた店で壺屋のものを買った最後でした。既に殆どの店では沖縄と言ってももっとテカテカした色もどぎついものばかりになっていたのですが、このお店だけ僅かに昔のものが残っていたのです。
もちろんめぼしいものはみんな買って帰ったような気もしますが、そもそもちょこっとしか残っていませんでした。でも、当時は社会人に成り立て、それも零細企業でろくな収入ではなかったではなかったし、かなり長い時間考え込んで選んでいたような気も。

このマカイ、たしか2つ有ったと思ったんだけどな〜、今はひとつしか見つかりません。もしかしたら使っていて割れてしまったのかも。飯椀て毎日使いますからね。これは使っていなかった方だと思います。
ちょっと小ぶりですがこれでお茶を点てたことも。と言うか一時期はこれしか使わなかったような気がします。当時は先にあげた「じっちゃんのマカイよりも私が選んだこのマカイの方がずっと形が良い! だいたいじっちゃんのはすすけて汚い!」 なんて思っていたんですが、う〜ん。

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色調補正しすぎでちょいと綺麗に成りすぎましたね。まあ絵柄を見るには良いかと。(笑)


色調を現物合わせで撮してみました。手前2つがじっちゃんマカイで奧の右が私が倉敷で買ったもの。奧の左がこのあとのページでご紹介する私が永年使っていた大ぶりマカイですが、じっちゃんマカイはまるで大昔の井戸茶碗みたいに中がすすけて汚れています。

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だもんで昔の私は「これで飯を食う気にはならんな〜」と思ったのですが、比べてみると私の常用デカマカイも改めて見るとけっこうきしゃないですね。(苦笑)
でも自分のだと全然気にならないと言うか、改めて比較するまで気が付きもしなかったんですが。
人のだと、それが例え自分のじっちゃん、ばっちゃんのでもなんか気になるんでしょうかね?
いや、ホントに汚れてばい菌が着いてるって訳じゃなくて洗えば洗うほどこうなるんですが。
ちなみに奧の右のマカイはひとつしか残っていないのであまり使わなくて、奧の左のデカマカイはおかわりをしないでも済むと言う利点(笑)の他に、同じのがまだあるから割れても大丈夫ってんで使っていたんです。

ところがこのページを見た先の友人の奥様は「岩田さんのあの常用マカイは汚すぎ!漂白剤に一晩漬ければ綺麗になりますよ」などとおっしゃります。が、突っ込まれてすごすごと引き下がる賄い岩田では御座いません。「そんなのは邪道だ! 民芸の心ではない」と言い返してやりましたわい。わっはっは  (・・・やっぱ汚いかなぁ でも「汚すぎ」はないぞ。ボソ)


これは直径13cmぐらいの小皿です。上薬は薄くて鮫肌って感じですね。この頃手に入れた壺屋はほとんどそんな感じなもんで私の眼には「これが壺屋である!テカテカしたもんは偽物じゃ!」なんて感覚が刷り込まれてしまっています。
正確に言うと「これが私の好きな壺屋である!テカテカしたもんは嫌いじゃ!」ってだけかもしれませんが、それに私が集めだした頃は既に昔の壺屋は終わっていたので、売れ残った不良品ばかりをかき集めて「すんばらし〜」と思っていたのかもしれません。
でもまあ、自分が好きならそれが正統だろうがなかろうが全然関係ありません。

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でもこれが不良品だってことぐらいは私にも判ります。焼きが甘いんじゃありません? 本当のところは判りませんが。そう思っていながらなぜ買ったのかと言うと、この魚です。実にいい加減に彫ってあるんですが、でも勢いが良いのです。

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これまでにお見せした唐草模様?だってそうですね。なんにも考えてなくてそれこそ鼻歌でも歌いながらひょいひょいと描いたって感じです。実際にそうだったんじゃないかと。

壺屋で有名なのは当時から金城次郎さんで、魚の釘絵の大皿が良く展示されていますが、あれは最初から見せることを意識したもののような気がします。
私の持っているものも金城次郎さんのものかもしれませんが、大半はほんとにただの雑器で、買う方も近所のおっちゃんやかあちゃんで、「お皿を5枚頂戴。あとお椀を3つね」なんて買い方で、作る方もともかくお皿を作って、でもすっぴんだと味気ないからなんか模様でも付けとくか。てなもんで別に絵柄や模様を売りにしていた訳ではないはずです。すくなくともそうした頃の雰囲気がかろうじて残っていた頃のものだと思います。

なんて言うのは私のただの想像なんで、実際には貧農史観と同じ誤った先入観なのかもしれませんが。でも沖縄の昔の釘絵や絵付け、小鹿田や小石原の飛びかんなや刷毛目を見ているとそんな感じがするなぁ。


ところでこれも魚の釘絵なんですが、まあパット見、ゴミが着いてるみたいですね。絵の具(焼き物だと何て言うんだっけ?)がぼってり着きすぎちゃったらしくて絵がはっきりしないんですが。
ちなみに色調は現物合わせでやり直しました。こんなもんです。
これを買ったのは絵柄ではなくてこの白?クリーム? の肌のような質感です。焼きはですね〜、特におかしくは無いと思います。裏を見ても・・・、まあほんのちょっと微かに甘いのかもしれませんが。でもこの肌のような質感は好きです。今のものには無いですね。

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それに比べてこちらは焼きが甘いんじゃないかな?
まあ私は酸化・還元とかは良く判らないので何でも温度の程度にしちゃうんですが。
色も良くはないのですが、絵柄の勢いのサンプルとして買ったんだと思います。実は焼きは悪いけど絵はもっと勢いのある大皿が有ったのですが、残念ながら手元には残っていません。

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でもこれ。倉敷だったかな〜。もしかしたら人吉だったかもしれません。
ちなみにこのお皿、近所の沖縄料理屋さんにあげました。私の処においていても使われないのでね。それじゃちょいと可哀想じゃないですか。