賄い家の民芸・工芸       我が家の籠達

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熊本は山鹿(ヤマガ)の脱衣籠じゃなかったかな?
ちなみに以下全て25〜30年ぐらい前のものですので流石に色艶は当時とは違いますが。


これは私がワインのコルクを貯め込んでいた籠です。最初は1本1000円ぐらいの国産白ワインのケース買いからはじまり、ある日突然フランス・ブルゴーニュの赤ワインに。
どういう心境の変化かって? 
聞いて下さいますな、思い出すだけでも涙がちょちょぎれて。(ノヘ;)シクシク..
あれは忘れもしない1979年、中学の頃から好きだった女性の結婚祝いに送ったロイヤル・ドルトンのお返しに、赤坂の迎賓館のワイングラスをくれると言うので、某レストランで待ち合わせてブルゴーニュはラ・ターシェの71年を開けたときからでした。(事前に注文しておいたらちゃんとデキャンタしておいてくれた。)

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ブルゴーニュったってほとんどはボジョレーだったけどね。あ〜た、コート・ド・ニュイあたりじゃ例え村名ワインクラスだって、この籠一杯にコルクが溜まるほど買ったら身上潰れまっせ。いや、何本かは入っていましたが。フキフキ "A^^;

これも私が買ったものだと思います。

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こりゃお袋ですね。昔は艶のある良い色だったのですが、こないだの土日に実家に帰り発掘作業をしたら、これは外の軒下で野ざらしになっていました。
足がひとつ無くなってしまって傾いています。

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これもお袋じゃないかな〜、私は籐で巻いたようなものは買わないと思う。
でも使いやすい籠です。

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割とポピュラーなんじゃないでしょうか。少なくとも30年前は、いや、私の廻りだけかも?
今でも私が使っているゴミ籠です。たっぷり入るんでとてもお気に入り。(笑)

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一時期洗濯物を入れるのに使っていました。今では洗濯物は直に洗濯機に放り込んでしまうので、お役ご免に。あまり使わないものを放り込んでいます。

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おっと、これも有りました。これは友人の店で虫食いになりかけたもの。新しい竹は季節によってはどうしてもそうなりやすいのです。
「熱湯をかければ全部死ぬから大丈夫だ、仕入れ値にしてやるからお前持っていけ!」と言われて、持ち帰り、お湯をかけたら確かに虫食いはピタリと止まりました。脱衣籠に使ってました。最近は押入の中に放り込まれていたのですが。上から見るとまん丸です。

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これも30年ぐらい前のものです。つづら藤の背負子。まあ、アケビ蔓の籠はどこにでもあるのに対して、これは当時でもちょいと珍しかったし、しっかりした編みだったんで引き取ったのですが。ところが30年間全く使っていませんでした。何でって今では使い道が無いんですよ。背負子なんて。

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ところが最近、娘に「学校の授業で使うから、棉と切れと、(なんじゃらかんじゃら)・・も買って!」と、手芸やら服地やらの店に「強制連行」されて行ったときにこのひもと言うかテープと言うのか、ともかくこのひもを見つけました。これは使えるかもと。
いや、ちょっとだけ山屋なんでこういうひもは結構持っているのですが、黒とか紺ではちと雰囲気が。でもこの茶色ならば良いかもしれないと思ったのです。山屋装備はナイロンなんですが、これはコットンです。実際良い雰囲気になりました。

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どういう封に使うのかと言うとこうです。

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なんて、実はこれ、ヤラセ画像なんですがね。(笑)
ちなみに背中でクロスしているところはところはマウンテンスミスの大型ウエストバックに使っていたものの流用。しかしこれ、使いだしたらけっこう便利で、最近このカッコで自転車に乗っています。


取った柿をちょいと石皿に載せてみました。なかなか良い感じですね。

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これは手振り籠とか言ったっけ? 木の皮を笹竹のような細い竹で編み込んでいます。実物はとても美しいです。こういう感じで柿だの蜜柑だのを放り込んでおいて、気が向いたらそこからムシャムシャ食べてます。これは小振りの25cmぐらいのものですが、これぐらいが今の生活には使いやすいですね。

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この籠も形が好きです。柿は実は撮影用で、撮影直前まで自転車パーツが入っていました。

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この籠は葡萄蔓です。30年昔でもかなり珍しかったし高かったです。
当時は津軽の方にもあって、でもそちらは最初から油を染み込ませて作っていたと思います。その方が作りやすかった? それに最初からもっともらしい色だった。でもあれは嫌いでしたね。編みも下手だったし蔓の太さももっと粗くて不均等だったし。

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これの仕入れの時は私も夏休みで同行していたのですが、編んでいたのは山間の農家のじいちゃん。夕方に着いて夜まで話し込んでいたような。それまでは「葡萄蔓は高い、高過ぎ!」と思っていたのですが、じいちゃんの話を聞いていたら「安すぎ!」と思うようになりました。
この山葡萄の蔓を取りに山に入って1日に取れるのはほんの何個分か。それも1年中採れる訳ではなくて、こういうものを作るのに丁度良い材質になるのは確か秋口だったかな? それを農閑期に編むような。いや、30年も昔に聞いた話ですからはっきりは覚えていないのですが、1シーズン=1年で何個作れるか(蔓が採れるか)、ひとつあたりの労力がどれだけかを考えたら「安すぎ!」と。お年寄りの小遣い稼ぎぐらいにしかなりません。
その30年前にその集落では何人か作り手は居たようですが、友人(先輩)の話だとそのじっちゃんが一番上手なんだとか。仕入れる方も車で半日かけてその山奥まで行って手にしたのはこの籠数個ぐらい、確か10個も無かったと思います。これはその中のひとつです。


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葡萄蔓の籠は使い込むほどに色が変わってきます。画像はそのサンプルに友人の店で撮したもの。右が最近の新品未使用品です。真ん中が30年前の私ももの。でもあまり使ってはいません。左はそれよりは新しい20年ぐらいぐらい前のものとか、ただし持ち主の私の友人の奥様が20年間使い続け磨きつづけたものです。その奥様、私に「岩田さんもこれぐらい使い込まなきゃだめでしょう」と勝誇るので「これニスでも塗ったんじゃありません?」と言ってやりましたわい。でもそう憎まれ口を吐きたくなるぐらい良い色艶でした。

左の私の友人の奥様のものとわたしの籠は編んだじっちゃんはもう亡くなり、跡を継いだ奥様でもう90歳を越したとか。右がその「とめの婆ちゃん」の跡を継いだお嫁さんだそうですが、お嫁さんと言ったってもう70だそうです。

竹にしても、アケビ蔓にしても、みなそういう状態らしいです。でもあとを継いで作り続ける人がいるところは良いのですが、先のつづら藤の背負子はもう作り手は亡くなってしまって誰も居なくなってしまったとか。


編み物ではあと台湾の高砂族の首袋が有ったのですが、はて、どこにしまったのやら?