賄い風ツーリング車考 page2

フレーム 

さて、「賄い風ツーリング車考」もそろそろ本題に。フレームです。
ロードレーサーとか、MTBでもレース系は剛性が、踏み込んだときのロスの少なさが・・・、なんて話しもありますが、それは先頭争いな世界の話し。ツーリングにダッシュの効率性なんてどうでも良いです。むしろ長時間走り終わったときの疲れの度合いが違うって方が気になります。

もっとも「ガックリ疲れる」は論外にしても、そうでは無い範囲で「キビキビと反応してくれるのが好き!」って方もいらっしゃるでしょうが。そのへんのさじ加減も乗り手いかんでしょうね。サスペンションは昔ランドナーな人でも「街乗りやツーリングに楽」とおっしゃる方が思いの外いらっしゃいますが、私は逆にFサスに始まってリジットに落ち着いた人間なんで、あれが普通のツーリングに必要とは思えません。

が、そう言えるのはそれなりのフレームがあってこそです。
ママチャリを除く最初の趣味の自転車は4万円でお釣りのくるのハイテン鋼MTBでしたが、友人のタンゲクロモリMTBに乗ったときは目から鱗でした。岩場を突っ切るのもえらい楽。MTBを始めたころに読んだ雑誌か何かで、少数派とは成ったがWバテッドのクロモリでフレーム自体のしなりでサスペンションと同様の効果を今も追求するアルチザン的フレームビルダーもまだ居て・・・、とか読んで憧れたものです。

 クロモリ−チューブ径 

で、一応高級と言われるタンゲプレステチューブのMTBフレームを新旧2台手に入れましたがこの2台で硬さ柔らかさが違う。これはチューブ径が違うからでしょう。

人様の自転車のレストアでクロモリながらもっと廉価版のスタッカードやミキストに乗ってみましたが。これが私のプレステMTBよりも乗り味が柔らかい。10〜15年ほど前ですが8万程度のものです。我々の、現在の私の自転車に比べれば廉価版です。少なくとも片方はWバテッドですら無かったでしょう。チューブの銘柄の解るものとしては15〜18年前のタンゲ・インフィニティーのロード。ランクはプレステージよりも相当下がるのですがMTBよりも乗り味ソフトです。
と言うので誰もが知ってる結論。フレームの剛性を支配する最大の要素はチューブ径である。クロモリのランクより勝る。もしかしたらWバテットとプレーン管の差にも勝るんじゃない? 多分。

強度ですが、MTBレースやDHでも無い限り現行MTB(クロモリでも)ほどの強度は要らないように思います。少なくともMTBでダートを走る人の80%ぐらいにとってはそこまでの強度を必要とするような走りはしていない。と言うので山岳サイクリング(マウンテンバイキングとはちとニュアンスが違う)をするんだって少なくとも前三角のチューブ径はロードと同じでよいと言うのが私の結論。

ただし、ここで言っているのはまだ径だけです。チューブにはあと厚みがあります。フレームの強度はまずはこのあたりで決まるでしょう。同じビルダーさんが作ったとしてですが。

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Wバテッドの厚み  

バテットかプレーン管か、まあ今時クロモリで作るとしたら積載量40kg超の日本一周的キャンピング車は別にしてバテッドですね。でそのバテッドにも厚みがあって薄いところで0.4mm,0.5mm,0.6mmぐらいでしょうか? 0.3mmというのもありますがかなり極端な例で。

お宝レイノルズ531でも実は何種類もあります。例えばトップチューブ用でAB101- 0.7/0.5/0.7mm、AB111- 0.8/0.5/0.8mm、AB131- 1.0/0.7/1.0mm、1.0/0.7/1.0mmと言うのはWバテッドで厚いとこ/薄いとこ/厚いとこです。長さで言うと600mm素材で端の厚いとこ75mm、段々薄くなる部分50mm、真ん中の薄いとこ280mm、段々厚くなる部分50mm、最後の厚いとこ145mmです。ですからどんなフレームが欲しいのかはチューブの銘柄により先にどの厚みかの方が圧倒的に重要なはずなんですが。

私のは多分AB111です。イシワタ=カイセイで言うと19番相当?まあ、素人に解るのはこの厚みまでで、ほんと言うと531だコロンバスSLとかの銘柄は趣味の世界(ディカールの世界)ですね。
最近の洋物チューブの詳細仕様は良く知らないんですが、厚み、形状(丸パイプだけでは無くなってきた)、あとはティグ溶接用とかでの品揃えじゃないでしょうか。形状は剛性と薄さ(軽量化)の兼ね合いが目的? レーサーじゃないツーリング車にはあまり関係(効果)が無いような。よくは解りませんが。

と言う訳で、望ましいツーリング車を考えると個人的な経験からも、クロモリで前三角はロードと同じ径で、厚みは薄いとこ0.5〜0.6mmぐらい、間違っても0.4mmは使わないってことに。4サイド前提とか日本一周的キャンピング車は除外します。あくまで平均的なツーリング車ですんで。

アルミですか? 別にちょっとぐらいの軽量化ならどうでも良いです。それより硬くなるのは嫌だ。チタンにカーボン? 良いのかもしれないけど高いでしょ。それに普通は吊し・出来合い、色の選択も無し。なんやかんや言って鉄が経済的で加工も楽、自由度も効きます。とまあこれも色眼鏡かも。(笑)

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 <わびさび2世号のチューブ>