賄い風ツーリング車考 page5

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ハンドル  

ハンドルはまあ好きずきでしょう。個人的にはドロップハンドルにフーテッドレバーあるいはSTIレバーってのは嫌いです。ドロップハンドルならギドネットレバーでしょう。と言い出してもだれも同意しないでしょうが。(笑)

ドロップハンドルの良いところはあの上面の前の方に曲がるところだけです。下なんて視覚的なものだけで使うことなんか滅多に無いでしょう。かといってちょん切る必要までは無いかもしれませんが。下を付けとく、付けないは趣味の問題だと言い切ってしまいましょう(笑)。

だからドロップハンドルの良さはフルホーンフルホーンバーと変わりありません。私にとってはね。 一方でMTBなんかのフラットバーですが、まあ私はMTBの出なんで一番なじみが深いにもかかわらず・・・そのままでは難ありだと思います。まず長すぎ。あの長さはダートなんかで暴れまくるバイクを押さえつけるには必要な長さでしょうが、それにしてもアメリカ人の体型の場合でしょう。MTBでも大抵は切ります。

でもツーリングにはそれでも長い。まあ500mmぐらいにした方が無難だと思います。私は480mmぐらいに切りましたがそれ以下にしようとしても今度はレバー類がそれ以上内側には行かなかったりまたライトやスピードメーターの取り付け場所に困ります。それでも短距離のポタなら良いのですが、ある程度の距離を走り続けるにはフラット真っ直ぐバーはやはり疲れます。結局のところ私がフラットバーでも舗装路高速(当家比)長時間(同左)走行を楽にするためには生の状態では使ったことがないですね。例えば

  1. フラットバーと言っても実はSCOTTのフルホーンバー先ちょんぎり、主に前に曲がるあたりを持って流す。
  2. チネリのスピナッチライト先ちょん切りを付けてスピナッチライトの根本を持つ。
  3. レバーの内側にギドネットレバー用のコブを付けて流すときはそのコブに親指を引っかける。

つまりブレーキをかけるとか、その他シビアなコントロールが必要なとき以外はフラットバーの普通の部分を握っていないんでありますね。まあ、神田の大将が勝ち誇りそうで癪ではあるんですが。(笑)

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やっぱり癪だからちょっと言っておきましょう。(笑) 

掌が地面に垂直になるのが自然と言う訳ではありません。それを言うなら、鉛筆でも何でも良いですから握って腕を前に突き出してください。鉛筆は左右の肩と水平にはならずにすこし斜めになると思います。それを水平・平行になるように持つと拳は普通の状態より内側に曲げることになるでしょう。次に普通に自転車に乗ってください。大抵は程度の差はあっても前傾姿勢で上体を腕で支えています。

その手のひらのどこが一番力を受け止めているかというと大抵は親指の根本じゃないでしょうか? ここには筋肉もあって振動に対するクッションにもなります。この位置が腕の延長線上にあるか、それともそれから外れているかで腕、手首、手のひらの負担はだいぶ違うと思います。

ただしこれは腕を真っ直ぐに伸ばすことが前提で、MTBで山の中を走るときのように、肘をがに股上に広げた戦闘態勢のときは違います。こう考えるとなんとなく全て説明出来そうに思いません?
ドロップハンドルでのんびり流すときの最初のバーの曲がりあたりを持つときも、フーテッドレバーやSTIレバーに手をつっかえ棒にしているときも、私の改造フラットバーの突起に指をかけているときも、親指と人差し指の根本はほぼ肩から一直線になっています。

完全横一文字のハンドルがいつ頃からあったかというとそんなに歴史は古くないのでは?ドロップハンドルは元々は思いっきり前傾姿勢で高速走行ねらいです。レバーの位置も今とは違います。で、ドロップハンドル以前とか、あるいは高速走行ねらいでない、荒れ地でのコントロール性能も良いタイプのハンドルもかつてはありました。
イギリスのノースロードバーです。おお、うまくつないだ。(爆笑)

 

まあ、ドロップハンドル以前の自転車のハンドルは上か下かの違いはあっても、まあ解りやすく言えば、いまのママチャリ自転車の曲がり具合に割と似てますね。

ただし、残念ながらノースロードバーなんて言葉を知ってる人すら少ないほどです。一般的には流通していません。私はチネリと3Mのものを持っていますが、滅多に手に入らないでしょう。
で、そのチネリと3Mのノースロードバーですが、どうも日本人の肩幅には広すぎる気がします。となると自分の好きな巾、角度で作る(作ってもらう)しかないのですが、こうなるともういよいよ一般的ではありません。

ちなみに私は1台日東のママチャリハンドルみたいな曲がりのあるフラットバーを切り縮めて天地を逆にして両端がわずかに下がるようにセッティングしていますが、子連れ狼さんが乗ったときに立ち漕ぎがやりにくいと言っていました。私は立ち漕ぎなんかしないから良いのです。(笑)チネリのノースロードバーは非常に曲がりが美しいのですが、MTB用のブレーキレバーやシフターが入りません。

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と言う訳で、フレームさえ条件を満たしていればMTBだってツーリングには良いのですが、ハンドルだけはそのままではダメです。どうすれば良いのかというと・・・まあ工夫しましょう。

ハンドルとフレーム

ところで、ハンドルによってフレームの設計が変わることがあります。
完全なフラットバーならさほど差は生じないでしょうが。例えばパスハンなんかで走る状況に応じてドロップにしたりフラットにしたりという範囲ならそもそもフラットを選択する場合は平地巡航ではないので上体が多少起きてもそれはそれで好都合でしょう。

ただし、ノースロードバーなどでは実際に握る、厳密には親指と人差し指の付け根の位置は同じ自転車につけると相当に手前にきます。例えばドロップハンドル前提のほとんどのビルダーさんの標準的なジオメトリではそこが合わなくなってしまうでしょう。

具体的にはサカエのランドナーバーとチネリのノースロードバーを同じフレーム、同じステムに付けたとすると、ドロップハンドルでブレーキレバーの付け根を手のひらのストッパーにした状態では約10cm強、もっと手前の最初の曲がりをつかんでいる状態で5cmぐらいの差がでます。この差をダイレクトに反映させる訳ではないにしてもちゃんと意識していないと体に合わないフレームになってしまいます。

逆に、ノースロードバー(といっても色々あるけど)が前提であったと思われる英国車、クラブモデルなどは現在の標準的なロードフレームと比べてトップチューブ長がかなり長めのよう。MTBの理論トップチューブ長もロードよりは若干長めのようですが、こちらはちょっと厳密な比較は困難。

まあ、普通はノースロードバーを前提としたフレームなど作る人はいないでしょうからあまり気にする必要は無いのですが、フレームの設計でトップチューブ長は実際にはサドルにまたがる腰からハンドルを握る手の位置が問題なのであって、普通はドロップハンドルだから、まあステムは平均このぐらいって前提で引き算でチューブ長を決めているはずです。

ところで、フォークの上端、コラムの位置と実際にハンドルを握る手の位置で自転車の直進安定性、というよりハンドルのふらつきはだいぶ 変わると思うのですが、この点に関する研究論文や定説みたいなものは残念ながら見たことがありません。